雨

雨が降るメカニズムは、まず「雲ができること」から始まる。空気中に含まれる水蒸気が水滴や氷の粒に変わり、それが集まって雲となるわけだが、その雲粒が成長し、重力に逆らえなくなって地上に落ちてくるのが雨の正体だ。
この雲粒が成長するには、主に二つの異なる仕組みがある。一つは「冷たい雨のメカニズム（氷晶過程）」と呼ばれるもので、日本の雨のほとんどがこれに該当する。上空の高いところでは気温が氷点下になるため、水蒸気は水滴だけでなく、氷の結晶（氷晶）としても存在する。この氷晶は、周囲の過冷却水滴（氷点下でも凍らない水滴）や水蒸気を効率よく取り込む性質があり、どんどん大きくなる。やがて、重くなった氷晶は上昇気流では支えきれなくなり、落下を始める。この落下中に気温の高い層を通ると、氷晶は溶けて水滴となり、雨として地上に降るのだ。もし溶けずに地上まで落ちてくれば、それは雪となる。
もう一つは「暖かい雨のメカニズム（併合過程）」だ。これは主に熱帯地方や夏の積乱雲で起こる。この場合、雲の中の温度は全体的に氷点下にならない。雲の中の様々な大きさの水滴が、空気の抵抗を受けながら落下していく過程で、小さな水滴が大きな水滴にぶつかって合体（併合）していく。このようにして水滴がぶつかり合いながら徐々に大きくなり、最終的に重力に引かれて地上まで落ちてくるのが雨となる。
どちらのメカニズムであっても、雲の中で水滴や氷の粒が十分に成長し、空気の抵抗や上昇気流の力に打ち勝てなくなるほど重くなった時に、雨として地上に降り注ぐことになる。この水の循環は、私たちの生活にとって不可欠なものであり、地球の気候システムを維持する上で極めて重要なプロセスなのだ。