大洋とは、地球の表面を覆う広大な海域の中でも、特に大規模で深さがあり、大陸によって区切られた地球上の主要な海の総称だ。かつては太平洋、大西洋、インド洋の「三大洋」とされてきたが、近年では、南極を取り巻く「南極海」と北極を取り囲む「北極海」も独立した大洋として認識されるようになり、これらを合わせて「五大洋」と呼ぶことが一般的になっている。
それぞれの性質を見てみよう。
- 太平洋:世界で最も広大な大洋であり、地球の海の約半分を占める。アジア、オーストラリア、南北アメリカ大陸に囲まれ、最も深く、多くの海溝が存在する。活発なプレートの沈み込み帯が多いため、地震や火山活動も活発な「環太平洋造山帯」が周囲を取り巻いている。
- 大西洋:南北アメリカ大陸とヨーロッパ、アフリカ大陸に挟まれた、南北に細長い形をした大洋だ。中央には海底の山脈である「大西洋中央海嶺」が走り、新しい地殻が生成されている。その海嶺から両側へプレートが広がることで、大陸が移動している証拠でもある。
- インド洋:アジア、アフリカ、オーストラリア大陸に囲まれた大洋で、他の大洋に比べて陸地の占める割合が大きいのが特徴だ。モンスーンの影響を強く受け、季節によって海流の向きが大きく変わる地域もある。
- 南極海:南極大陸を取り巻く海域であり、多くの氷山や海氷が存在する。非常に冷たい海水が特徴で、地球の海洋循環において重要な役割を果たす「南極環流」が流れている。生物生産性が高い海域でもある。
- 北極海:北極点を取り囲む、地球上で最も小さい大洋だ。北アメリカ大陸、ユーラシア大陸、グリーンランドなどに囲まれ、大部分が一年を通して海氷に覆われている。近年、地球温暖化の影響で海氷の減少が著しく、その環境変化が注目されている。
これらの大洋は、それぞれが広大な生態系を育み、地球規模の気候調節、水循環、物質循環において不可欠な役割を担っている。また、人類にとっては、海上交通路として、そして食料や資源の供給源として、古くから重要な存在であり続けているのだ。

コメント