雷とは、積乱雲の中で発生する非常に大規模な放電現象のことだ。そのメカニズムは、主に積乱雲の中での氷の粒子の衝突と電荷分離によって説明される。
まず、雷を発生させる積乱雲は、非常に背の高い雲であり、その内部は高度によって温度が大きく異なる。雲の低い部分は0℃以上の暖かい空気を含んでいるが、上空では気温が氷点下になる。この氷点下の領域では、水滴だけでなく、小さな氷の粒(氷晶)や、水滴が凍って成長した霰(あられ)や雹(ひょう)なども存在している。
これらの様々な大きさや状態の氷の粒子は、雲の中で活発な上昇気流や下降気流によって激しくぶつかり合う。この衝突の際に電荷が分離されると考えられている。一般的には、比較的重い霰や雹は衝突すると負(マイナス)の電荷を帯びて雲の下の方へ落ちていき、軽い氷晶や氷の破片は正(プラス)の電荷を帯びて雲の上の方へ運ばれる傾向がある。この結果、積乱雲の内部では、上層に正の電荷が、下層に負の電荷が、そして最も下層には弱い正の電荷が分布するという、巨大な電荷の偏りが生じるのだ。
このようにして雲の中に多量の電荷が蓄積されると、その電荷の差(電位差)が限界に達した時、蓄積された電気が一気に放出される現象が起こる。これが放電であり、私たちが目にする雷光(稲妻)となる。放電は、雲の中(雲内放電)、雲と雲の間(雲間放電)、あるいは雲と地面の間(対地放電)で発生する。
雷の光が走る瞬間に、その周りの空気が急激に熱せられ、その膨張によって爆発的な音が生じる。これが雷鳴だ。光の速度は音の速度よりもはるかに速いため、私たちはまず稲妻を見て、少し遅れて雷鳴を聞くことになる。このように、雷は積乱雲の中で起こる複雑な物理現象の結果であり、非常に大きなエネルギーを伴う自然現象なのだ。

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