太陽

太陽は、地球上の生命活動のほぼ全てのエネルギー源であり、地球の気候を形作る上で最も根本的な要素である。太陽から地球に降り注ぐ「日射（太陽放射エネルギー）」の量が、地球の気温や気象現象の基本的な変動パターンを決定しているのだ。
地球は太陽の周りを公転しており、さらに自転軸が傾いているため、太陽光線の当たり方が季節によって変化する。これが、春、夏、秋、冬という四季を生み出し、各地の気温や日照時間の変化、さらには大気の循環や海洋の海流のパターンにも影響を与えている。例えば、夏に日射が強まれば気温が上がり、水が蒸発して雲ができやすくなり、雨季や台風の発生にも繋がる。
一方で、太陽活動自体の変動が地球の気候に与える影響については、長年研究が続けられており、一部に議論の余地も残る。太陽の活動は、約11年の周期で活発になったり静かになったりすることが知られており、この活動の指標として「太陽黒点数」がよく用いられる。太陽活動が活発な時期には、地球に届く太陽からのエネルギー量がわずかに増加すると考えられている。過去の気候変動の中には、例えば17世紀の「マウンダー極小期」のように太陽黒点が極端に少なかった時期に、地球が寒冷な気候になったという説もある。
しかし、近年観測されている地球温暖化の主な原因が太陽活動の活発化であるかというと、現在の科学的見解ではそうではないとされている。確かに太陽活動は地球の気候に影響を与える要素の一つではあるが、近年の気温上昇の傾向は、太陽活動の変動だけでは説明できないほど大きく、温室効果ガス濃度の増加が主要な要因であるという見方が有力だ。
このように、太陽は地球の気候の根源であり、その基本的な変動パターンを決定づけている一方で、太陽活動の細かな変動が地球の気候に与える影響については、より詳細な研究が進められている分野である。