月は、地球にとって唯一の自然衛星であり、夜空で最も明るく輝く天体だ。その直径は地球の約4分の1ほどで、太陽系で5番目に大きな衛星にあたる。地球から平均して約38万キロメートル離れた場所を公転しており、この距離は地球を約30個並べた分に相当する。
月の表面は、クレーターと呼ばれる無数の穴や、暗く平坦な「海」(実際には水がない乾燥した平原)と呼ばれる地形、そして明るい高地(陸)で覆われている。これらの地形は、主に小惑星や彗星の衝突によって形成されたものだ。月には地球のような大気がほとんどなく、水もごくわずかしか存在しないため、昼夜の温度差が極めて大きいという特徴がある。昼間は灼熱の100℃以上にもなる一方で、夜間はマイナス170℃を下回る極寒の世界となる。
月は地球の周りを約27.3日で一周するが、その間に地球に対する月の向きは常に同じだ。これは「潮汐ロック(同期自転)」と呼ばれる現象によるもので、月の自転周期と公転周期がほぼ一致しているため、地球からは常に月の同じ面しか見ることができない。私たちが普段目にしているのは「表側」で、裏側はなかなか見ることができない「月の裏側」として知られている。
また、月は地球に非常に大きな影響を与えている。特に顕著なのが潮の満ち引きだ。月の引力が地球の海水を引っ張ることで、潮汐現象が起こる。さらに、月が地球の自転軸の傾きを安定させる役割も果たしており、もし月がなければ地球の気候は現在よりもはるかに不安定になったと考えられている。
月の誕生については諸説あるが、最も有力なのは「ジャイアント・インパクト説」だ。これは、原始地球に火星ほどの大きさの天体が衝突し、その際に飛び散った破片が集まって月が形成されたという説である。人類は1969年のアポロ11号によって初めて月面に着陸し、以降も様々な探査が行われており、今後も月は宇宙探査の重要な拠点として注目されている。

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